すっと腰を持ち上げて、原田さんに無言で頷いた。 “たのんだ” 原田さんが口パクで、確かにそう言ったから。 部屋の前で足を止めて振り返る。 斉藤さんはまだ空を見ている。 よし、と思って襖に手をかけた。 「キンさーん?」 眩しい外から来たから、暗い室内では目が眩んだ。 それでもしっかりとした足取りでキンさんの前に座った。