さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―



すっと腰を持ち上げて、原田さんに無言で頷いた。





“たのんだ”




原田さんが口パクで、確かにそう言ったから。






部屋の前で足を止めて振り返る。





斉藤さんはまだ空を見ている。




よし、と思って襖に手をかけた。






「キンさーん?」




眩しい外から来たから、暗い室内では目が眩んだ。




それでもしっかりとした足取りでキンさんの前に座った。