「キンさん!」
私の部屋の真ん中には寝っころがりながらこんぺんとうにむさぼりついているキンさんがいた。
いつみてもその美貌にこの態度はずれているなあと思っておもわず苦笑してしまう。
「それにしても随分ご無沙汰じゃないですか。具合大丈夫なんですか?」
キンさんは働き始めて2ヶ月目あたりのある日、体調を崩したといって休んだ以来2週間ほど顔を出さずにいた。
「すまなかったね。今はもうピンピンしているから。」
そう言って着物の袖をまくって自分の力こぶを見せてきたキンさんを止めに入る。
「キンさんはしたないですよ。もっと女性らしくしたらどうですか?」
そうしたらもっとモテるのに、と言いかけて口を噤んだ。
キンさんはそういうものは求めていないだろうから。
「あずちゃんこそ刀なんて握っちゃって、あたしにそんなこと言えるのかい?」
キンさんはそう言ってニヤリと頬を上げた。

