さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―




初めは通りすがりの幹部や隊士の人に聞きながらでないと辿り着けなかったこの部屋も、もう一人で行き来出来るようになった。





私どんどんこの時代に同化しちゃってるなあ、なんて考えながら廊下を歩いた。




そういえば。



買い物に出かけた先で翼に会った時のことをふと思い出す。





現代に帰ろう、と言われたとき私は揺れていた。





あんなに帰りたいと願っていたのに。





現代のみんなには会いたいと思う、心から。





それでも、この150年前の世界にも手放したくないものが出来たから。





帰る手段が見つかったとき、わたしはどうするんだろう?




帰りたいと、願うだろうか?




それとも?




うーん、と悩みながら部屋のふすまに手を掛けた。






――バリッ!





「ん?」





突如私の部屋の中から音がした。





もしかして侵入者!?




いや、丞が帰ってきてるとか?





ううん、それはない。




丞は3ヶ月に一度とか、本当に稀にしか帰ってこないと聞いた。





じゃあ、誰?





恐る恐るふすまから中を覗いてみる。





「おかえり、あずちゃん。」