さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―



「大丈夫だよ。俺たちが探してあげるからね。」




そういって男の子の頭をポンポンと撫でてあげると、男の子は泣き止んで沖田さんの手を握った。




沖田さん、凄いな・・・。



沖田さんが子供に向ける目はとても柔らかく、優しいものだった。



・・・ん?



さっきから男の子がじーっと私を見ている。




「どうしたの?」




沖田さんに見習ってしゃがみこみながら声を掛ける。




「おねえちゃんも。」




男の子はそう言って私の手もギュッと握ってきた。




温かく、柔らかい小さな手。




「今だけ俺らがこの子のお父さん、お母さん代わりみたいだね。」




沖田さんはそう言って、ははっと少し照れたように笑う。




――ドキン




まただ。




沖田さんに出会ってから、今までになかった感情に襲われることが多くなった。




キュンって胸が締め付けられて、ドキンと心臓が跳ねる。




現代にいたとき友達がよく話していた気持ちに似ている。




私、もしかして?




「おかあちゃん!!」




男の子がいきなり声を張り上げたから驚いて視線の先を見る。




向こうから25歳くらいの女の人が駆け寄ってきた。




「すみません、うちの子が…。ありがとうございました。」




お母さんは丁寧に頭を下げる。




「おねえちゃん、おにいちゃん、ありがとう。」




男の子は私たちの手をパッと離し、お母さんの元に向かった。




「じゃあね、ボク。」




沖田さんもにっこり手を振る。