「大丈夫だよ。俺たちが探してあげるからね。」
そういって男の子の頭をポンポンと撫でてあげると、男の子は泣き止んで沖田さんの手を握った。
沖田さん、凄いな・・・。
沖田さんが子供に向ける目はとても柔らかく、優しいものだった。
・・・ん?
さっきから男の子がじーっと私を見ている。
「どうしたの?」
沖田さんに見習ってしゃがみこみながら声を掛ける。
「おねえちゃんも。」
男の子はそう言って私の手もギュッと握ってきた。
温かく、柔らかい小さな手。
「今だけ俺らがこの子のお父さん、お母さん代わりみたいだね。」
沖田さんはそう言って、ははっと少し照れたように笑う。
――ドキン
まただ。
沖田さんに出会ってから、今までになかった感情に襲われることが多くなった。
キュンって胸が締め付けられて、ドキンと心臓が跳ねる。
現代にいたとき友達がよく話していた気持ちに似ている。
私、もしかして?
「おかあちゃん!!」
男の子がいきなり声を張り上げたから驚いて視線の先を見る。
向こうから25歳くらいの女の人が駆け寄ってきた。
「すみません、うちの子が…。ありがとうございました。」
お母さんは丁寧に頭を下げる。
「おねえちゃん、おにいちゃん、ありがとう。」
男の子は私たちの手をパッと離し、お母さんの元に向かった。
「じゃあね、ボク。」
沖田さんもにっこり手を振る。

