お金を代わりに払ってくれた沖田さん。
「いいよ。俺からの贈り物だとでも思ってね。」
目を細めて笑う沖田さんの優しさに、胸がきゅっと締め付けられる。
「ありがとうございます・・・。」
どうしてか照れくさくて沖田さんの顔を見れずに、俯きながらお礼を言った。
このかんざし、絶対大切にしよう。
丁寧に鞄にしまってきゅっと固く口をしめた。
「うえぇえん!」
──ビクッ
突如、足元から聞こえる泣き声に驚いて肩をすくめてしまう。
下を見ると5歳くらいの男の子が、私の着物を掴んでわんわん泣き叫んでいた。
「ボク、どうしたの?」
沖田さんが男の子と同じ背の高さまでかがんで優しく声を掛ける。
「おかあちゃん、いなくなっちゃったっ!」
そう言ってまた泣き出す男の子。
ど、どうしよ・・・。
私は一人っ子で子供とか得意なタイプじゃなかったから、どうすればいいかわからない。

