さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―



お金を代わりに払ってくれた沖田さん。




「いいよ。俺からの贈り物だとでも思ってね。」




目を細めて笑う沖田さんの優しさに、胸がきゅっと締め付けられる。




「ありがとうございます・・・。」




どうしてか照れくさくて沖田さんの顔を見れずに、俯きながらお礼を言った。




このかんざし、絶対大切にしよう。




丁寧に鞄にしまってきゅっと固く口をしめた。




「うえぇえん!」




──ビクッ




突如、足元から聞こえる泣き声に驚いて肩をすくめてしまう。




下を見ると5歳くらいの男の子が、私の着物を掴んでわんわん泣き叫んでいた。




「ボク、どうしたの?」




沖田さんが男の子と同じ背の高さまでかがんで優しく声を掛ける。




「おかあちゃん、いなくなっちゃったっ!」




そう言ってまた泣き出す男の子。



ど、どうしよ・・・。




私は一人っ子で子供とか得意なタイプじゃなかったから、どうすればいいかわからない。