「キンさん人気者ですね。」 「いやぁ、そんなんじゃないさ。特に幹部の連中にはなあ。」 幹部の人には? キンさんの言葉が理解出来なかった。 「あっ。」 丁度その時、曲がり角のところで藤堂さんに出くわした。 「藤堂さん、こんにちは。」 私が挨拶すると、藤堂さんは「うっす。」と返してくれた。 ・・・けれど、私から視線をそらすと、藤堂さんは一瞬にして硬直した。 「久しぶり、平助。」 みるみる藤堂さんの顔が青く染まっていく。 まるで、この薄暗い青い空のように。