さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―



「さっそくだけど調理場に案内してくれる?」





「は、はい!」




キンさんの前に遠慮がちに据えていた腰を素早く持ち上げる。




キンさんもそんな私を見てゆっくり腰をあげた。





「前川邸に来るのは久しぶりさねえ。」




部屋からでて廊下を歩くと、キンさんは懐かしそうに辺りを見渡した。




「今まで来たことあったんですか?」




「そうだね。もう何年も前のことだけどね。」





キンさんはそう言うとにっこり笑った。




ここに女のひとはいないというのに、キンさんは出入りしていたことがある。




沖田さんの姉、という理由だったんだろう。




ということは、近藤さんや土方さんとも顔見知りなのかな?




「あっ、姐さん!」