さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―


「あずちゃんなかなか面白いね!これから楽しくなりそうだよ。」





キンさんは相変わらず胡座のまま爆笑している。





そんなに笑われると火照った温度が下がらないん。





「アタシもこれから毎日手伝いするから今日からは少し楽していいよ。まだ屯所から出ていないんだって?京の町はなかなか面白いから総司から連れてってもらうといいよ。アタシから頼んでおくからさ。」





大きな瞳を三日月形に歪めてキンさんは私の頭を撫でてくれた。





キンさんが翼と重なって少し胸が苦しくなった。





私は恥ずかしさにキンさんと視線は合わせられなかったけれど、こくんと首を縦に振った。





「そうだね、じゃあ明日でも連れてってもらえばいいさぁ。」





キンさんの言葉にゆるゆると頬が上がる。





初めての外出。





150年前の町を歩けるんだ。





一体どんな店があるんだろう?