さよなら、いつか。①―幕末新選組伝―


「じゃあ俺は行くから。あとは頼んだよ姉さん。」




「あい。分かったよ。」





キンさんは面倒くさいとでも言うように振り向きもせずただヒラヒラと手を振っていた。




キンさんと二人になった途端に緊張が戻ってくる。




なにを、どう切り出せばいいかわからない。




好きな食べ物はなんですか、とか?





いやいや、これはあまりにも痛すぎる。





もともと人見知りな性格だから初対面でって何を話せばいいかわからない。




壬生浪士のみんなは向こうから話しかけてきてくれたから、案外簡単に馴染めたけれど。





キンさんはおどけている私を見てにやにやと笑っている。




「あずちゃん、どうだいあの男は。」





「・・・へ!?」





キンさんの質問に緊張が一気に飛んでいく。





あの男、とは沖田さんのことだろう。