目の見えない吸血鬼との求婚

俺は、小声で先ほどの話を聞き返した。

「どういうことですか!?」

「二日前から、男女関係なく数多くの人が殺されているの。警察はロンドンから来た人じゃないかと推測しているらしいのよ」

俺が知らないところで、父は今回の事件を解決しようとしていることが分かった。

柊の話に耳を傾ける。

「殺人鬼…」

「もうひとつ…」

「ん?」

「最近、吸血鬼までもが、この大黒市に来ているみたい。父上は、まだ知らないけど」

「殺人鬼の次は、吸血鬼か」

解決することが、一つ増えてしまった。

これは、事件の匂いを嗅ぎ付けている父に相談したほうが良いと思った。

「わざわざ伝えに来てくれて、ありがとう」

「役に立てたのなら、嬉しいよ!この調子で調べてみる」

「お願いします!!」

次の授業は、移動教室なので手短で話が終わった。

柊と別れ、クラスメイトがずらずらと廊下に出てくる。

一年三組だ。

俺は、人混みに紛れ、一緒に体育館へ行った。

移動教室でも俺は考える。

先ほどの話が事実なら、一年の柊の噂にも何か関係があるかもしれない。

そうなれば、父と同じ、この二つの事件を解決しなければならない。

そう思うと、なんだかやる気が出てきた。