目の見えない吸血鬼との求婚

「ちょっと!!」

乱れた制服のまま森岡は、他の生徒たちの目を避けるかのように、俺をつれて廊下の端のほうに移動した。

「…ちょっと小耳にはさんだんだけど」

「何?」

「遊兎、二年の柊先輩と付き合っているなんて…ホント?」

「誰がいった?そんなこと」

「噂で流れて」

「また噂?どうだろうね。本人に聞けば!?」

俺は冷たくいった。それから鞄を持ち直して、自分の教室へ入った。


俺は正直に言うと、噂は嫌いだった。噂は、嘘か本当か分からない。その上、人を傷つけるからだ。

一年の柊を見ていると、必ず思ってしまう。

森岡には悪いことをしてしまったと申し訳なく思えた。

朝の話から気になり、再び柊に聞いたところ、返ってくる答えは同じだった。

【私は吸血鬼ではない。】

やはりここは、父の息子として解決するしかない。

探偵の名にかけて!!