「知っていたのか!?」


「うん。前から被害があるって聞いてね」


「何で言わなかった!?」怒りに狂った遊治は、息子の胸もとを掴んで、自分の顔に近づけた。


「父さんは殺人の事件を解決しようとしていたんだろ?だから、吸血鬼の件は、俺と柊さんだけで片付けようと思ったんだよ」


視線だけを私に向けてくる。息子の視線を追った父親は、ようやく私がいたことに気づいた。


浅く会釈した。


ぎろりと睨め付けられる。そのまま死亡した被害者の方へ戻した。

(機嫌を悪くしてしまったか…)

少し、悲しくなる。