遊兎の父親だった。探偵だから居るんだと気づく。


家に居るときの私服しか見ていなかったので、最初はわからなかった。


私は、静かに二人の方へ近づいて行った。


「被害者は、飯村賜恵。二十七歳のプロジェクト会社の社員です」

大黒市警察官の一人が、吉鷹遊治に説明していた。


「被害数は?」


「今回で三十八件です」


その言葉に、驚く遊治。初めて知ったという顔で難しい顔をした。

「これって…、吸血鬼の仕業だね」


静かにぽつりと呟く遊兎。彼と私だけが、この事件を知っている。