目の見えない吸血鬼との求婚

思いだし、そうだったと納得する。しかし、あの時の柊は、聞いてほしくない表情をしていた。そうなら、聞きたくはない。


「聞いても、大丈夫なの!?嫌そうな顔をしていたから」


「…。だいじょうぶ…」


本当に大丈夫なのか?先ほどから歩くペースが落ちている。その証拠に、俺の横で歩いていた柊が、今では後ろに下がっている。


「この話は、誰にも言わないでほしいの」


強い眼差しで俺を見る。俺は、分かったと強く頷いた。


緊張していたのか、体がゆっくりと落ち着いていくと、小走りで俺の方に走ってくる。


「手を…繋いでいい?」