目の見えない吸血鬼との求婚



その日の帰り道。二年二組の柊舞古都と一緒に同じ家に向かっていた。


商店街の道を歩いていると、突然俺の体が大きく左に傾いた。


「どわぁぁぁああッ」


左にいる柊に袖を大きく引っ張られたのだ。


「…読んでも聞こえてなかったみたいだったから…」


「ごめん…」


頭にヘッドホンをつけ、自分の世界に入っていた。それなら、音楽に遮られる柊の声は聞こえない。俺は謝った。


「どうした?」


「お昼の時、何か私に聞かなかった?」