もう、そのまんま頭を抱えちゃうわ。お弁当も訳が分からないまま完食、こんなじゃ満腹感がなくてダイエットには良くないんだけどね。
「だけどさー、それにしても余裕よね? くるみってば、有り得ない。前髪失敗してるよ? いつ言おうか悩んでたんだけど……」
そう言って、携帯用のミラーを差し出してくれる和沙ちゃん。
それを見て、びっくり。うわー、前髪が見事に爆発してる……! ウチの学校の女子トイレ、鏡がついてないのね。だから、全然気付いてなかった。
「ほんと、さすがって感じね」
くすくす笑いながら、穂積ちゃんは寝癖直しのスプレーを貸してくれた。それほど大きなバッグではないのに、穂積ちゃんって色んなものを持ち歩いてるの。この前、後ろ頭がどうにもならないくらい悲惨だったときには筒の中にホカロンを入れるカーラーまで出してくれた。
「だって、くるみちゃん。この間の席替えで、牧田くんの隣になったでしょう? それなのにここまでの脱力感は珍しいって、噂が他のクラスまで広まってるわよ」
「……へ?」
何だそれは、全然知らなかったわ。もともと状況把握が出来てない方だとは思ってたけど、何その「噂」っていうのは? 確かに私の隣は牧田くんだけど、教壇とは反対側の位置だからほとんど視界に入ってない。何か意味もなく右手の方からキラキラしたものを感じるなあとは思ってたけど。
目をぱちくりさせていると、「仕方ないなー」って感じで和沙ちゃんが教えてくれた。
「あのね、牧田って中学時代からすごいらしいよ? 同じ中学だった子から人づてで聞いた話だから何とも言えないけど。やっぱさ、ああいうのが近くにいたら普通は身構えるじゃない。牧田の隣の席になった女子は五割り増しに可愛くなるってもっぱらの評判なんだよ。あわよくば、ジャニ張りの彼氏が出来るんだしね」
さらに話を聞いていくと、その黄金ポジションに座った女子は必ずと言っていいほど他の男子に告られてめでたくカップル誕生になるらしい。ウチのクラス、やたらと春めいた空気が漂っていると思ったら、牧田くん効果だったのか。
今まで11ヶ月、全然気付いてなかった私も私だ。乙女なパワーが欠落していて、バレンタインチョコの指導なんて出来るのかしら。
「だけどさー、それにしても余裕よね? くるみってば、有り得ない。前髪失敗してるよ? いつ言おうか悩んでたんだけど……」
そう言って、携帯用のミラーを差し出してくれる和沙ちゃん。
それを見て、びっくり。うわー、前髪が見事に爆発してる……! ウチの学校の女子トイレ、鏡がついてないのね。だから、全然気付いてなかった。
「ほんと、さすがって感じね」
くすくす笑いながら、穂積ちゃんは寝癖直しのスプレーを貸してくれた。それほど大きなバッグではないのに、穂積ちゃんって色んなものを持ち歩いてるの。この前、後ろ頭がどうにもならないくらい悲惨だったときには筒の中にホカロンを入れるカーラーまで出してくれた。
「だって、くるみちゃん。この間の席替えで、牧田くんの隣になったでしょう? それなのにここまでの脱力感は珍しいって、噂が他のクラスまで広まってるわよ」
「……へ?」
何だそれは、全然知らなかったわ。もともと状況把握が出来てない方だとは思ってたけど、何その「噂」っていうのは? 確かに私の隣は牧田くんだけど、教壇とは反対側の位置だからほとんど視界に入ってない。何か意味もなく右手の方からキラキラしたものを感じるなあとは思ってたけど。
目をぱちくりさせていると、「仕方ないなー」って感じで和沙ちゃんが教えてくれた。
「あのね、牧田って中学時代からすごいらしいよ? 同じ中学だった子から人づてで聞いた話だから何とも言えないけど。やっぱさ、ああいうのが近くにいたら普通は身構えるじゃない。牧田の隣の席になった女子は五割り増しに可愛くなるってもっぱらの評判なんだよ。あわよくば、ジャニ張りの彼氏が出来るんだしね」
さらに話を聞いていくと、その黄金ポジションに座った女子は必ずと言っていいほど他の男子に告られてめでたくカップル誕生になるらしい。ウチのクラス、やたらと春めいた空気が漂っていると思ったら、牧田くん効果だったのか。
今まで11ヶ月、全然気付いてなかった私も私だ。乙女なパワーが欠落していて、バレンタインチョコの指導なんて出来るのかしら。
