選択科目から言って理系なのは分かってるけど、志望校はどこなんだろう。それも聞いたことがなかった。臣くんのことだから、私が聞けばすぐに答えてくれるはずだけど。何かいつも臣くんばっかりしゃべってる感じなのね、聞かれたことに短い言葉やジェスチャーで答えてるだけで時間が過ぎちゃう。
「で、……決まったの? 肝心のメニューは」
へー、本当だ。いろんなのがあるんだねーと私が持参した雑誌をぱらぱらしている穂積ちゃん。
彼女にはお弟子さん仲間の彼がいるけど、もうプレゼントはとっくに調達済み。さる老舗の洋菓子店がお得意様だけに限定で発売するチョコと、それから手編みのセーター。そっちも見せてもらったけど、タグを付けてお店に並べられそうなプロ級の仕上がりだった。
「ギリギリになって慌てたって、いいものは出来ないわよ。やはり、ゆとりがないとね」
二月の声を聞いた頃から思い出したように編み棒と格闘しているクラスメイトを横目で見て、結構きついひと言。いつもはガンガンと勢いのいい和沙ちゃんも、穂積ちゃんには頭が上がらないってぼやいてる。
「ううん、全然。だから、困ってるんだよ~っ!」
私は、臣くんにするよりもずっと派手なリアクションで首をぶんぶん横に振った。
「みんな期待してるのは分かってるから、なお困るんじゃない。色々と試作はしてるんだけど、コレって言うのがないのよね。材料だって買いに行かなくちゃ行けないのにーっ!」
あああ、思い出したらまた頭がぐるぐるしちゃう。お弁当の味だってよく分からなくなっちゃうよ。
――え? 私が何をそんなに悩んでるって?
実は、私はクッキング部に入ってるの。うん、部員がなかなか集まらなくて、そこも悩みの種なんだけどね。それでもやることはなかなか本格的。レシピの研究とかしちゃうし。お陰で私も長年の夢だったふんわりしっとりのスポンジをようやく焼き上げられるようになったんだよ。
「で、……決まったの? 肝心のメニューは」
へー、本当だ。いろんなのがあるんだねーと私が持参した雑誌をぱらぱらしている穂積ちゃん。
彼女にはお弟子さん仲間の彼がいるけど、もうプレゼントはとっくに調達済み。さる老舗の洋菓子店がお得意様だけに限定で発売するチョコと、それから手編みのセーター。そっちも見せてもらったけど、タグを付けてお店に並べられそうなプロ級の仕上がりだった。
「ギリギリになって慌てたって、いいものは出来ないわよ。やはり、ゆとりがないとね」
二月の声を聞いた頃から思い出したように編み棒と格闘しているクラスメイトを横目で見て、結構きついひと言。いつもはガンガンと勢いのいい和沙ちゃんも、穂積ちゃんには頭が上がらないってぼやいてる。
「ううん、全然。だから、困ってるんだよ~っ!」
私は、臣くんにするよりもずっと派手なリアクションで首をぶんぶん横に振った。
「みんな期待してるのは分かってるから、なお困るんじゃない。色々と試作はしてるんだけど、コレって言うのがないのよね。材料だって買いに行かなくちゃ行けないのにーっ!」
あああ、思い出したらまた頭がぐるぐるしちゃう。お弁当の味だってよく分からなくなっちゃうよ。
――え? 私が何をそんなに悩んでるって?
実は、私はクッキング部に入ってるの。うん、部員がなかなか集まらなくて、そこも悩みの種なんだけどね。それでもやることはなかなか本格的。レシピの研究とかしちゃうし。お陰で私も長年の夢だったふんわりしっとりのスポンジをようやく焼き上げられるようになったんだよ。
