金平糖*days

 あとから、分かったこと。
 最初から和沙ちゃんも穂積ちゃんも、少しも心配してなかったんだって。その他の外野の人たちも楽しくことの成り行きを見守っていたって言うから嫌になっちゃう。
「だってさ、今庄先輩ってすごく分かりやすいんだもの。どこにいても、くるみのことしか見てないの。とんでもなく遠くにいても、ものすごいスピードであっという間に接近してくるんだよ。生徒総会で壇上に立ったときだって、視線の先には絶対くるみがいるんだもの。もう、あれには全校じゅうが呆れてたわよ」
 和沙ちゃんがそう言えば、穂積ちゃんも大きく頷いて続ける。
「みんなすごく同情していたのよ、だってくるみちゃんは今庄先輩の必死さに全然気付いてないんだもの。『長すぎる春』とは言ってもあんまりよね。先輩がストライキを起こすのも無理はないわ」
「もうちょっと、きちんと周りを見た方がいいよ」って笑顔で付け足してくれた。そうかなあ、そんなに私って鈍感? そんなことはないと思うけど、きっと臣くんが上手に尻尾を隠していたのよ。

隣の席の牧田くんとは、何だかいい友達になった。彼はやっぱり「ラブの伝道師」だったんだね、感謝しなくちゃ。
「ホワイトデーに向けて、また試作会を開かない? 友チョコのお返しとかで、今時の女子は結構3月も忙しいみたいだしさ。ま、材料のことは任せておいて。今度は生徒会長と一緒に店まで受け取りにおいでよ」
 そんな風に笑う口元には八重歯、そして片えくぼ。これからは牧田くんを見習って、可愛い自分を演出する術も身につけなくちゃって思うわ。