金平糖*days

「女子ってさ、俺と話すると固まるんだもの。何か、マジでガチガチになってどうしようかと思うよ。もう少し肩の力を抜いて欲しいなと思っても、そんなこと直接言えるわけないだろ?」
 ……ええと、それは。
 多分、牧田くんがあまりに格好いいから緊張してしまうんじゃないでしょうか? こんな風にキラキラ光線を放ってたら、仕方ないよ。それは相手の女子が悪いんじゃないと思う、不可抗力って奴だ。
 整った顔とそうじゃない顔って、どこがどう違うんだろうね。みんな同じように眉毛と目がふたつずつ、鼻と口がひとつずつなのに、どうしてこんなに別の顔になるのか不思議。ただ単に「まつげが長い」とか「ぱっちり二重まぶた」っていうだけじゃないと思うんだ。
 だって、牧田くんは臣くんとはだいぶ違うもの。それでもそれぞれに格好いいんだよね?
「それにしても、やっぱり森永さんって面白いや。……ふふ、嬉しいな」
甘いミルクチョコレートみたいな笑顔で、そんなこと言うんだもの。思わず「はぁ?」って呆れちゃったよ。そう言えば、一昨日の金曜日にもそんなことを言ってたよね。
 私がまたムッツリした顔になったのが分かったんだろう。牧田くんは「ごめん」って素直に謝ってきた。
「いや、あのね。森永さんって、他の女子とは違うなって思ってたんだよね、前から。どこがどうっていうのは分からなかったんだけど。ようやく隣の席になって、やっと確信した。そうなんだよ、森永さんって俺のこと全く意識してないだろ? 最初からアウトオブ眼中でさ。そういうの、すごく新鮮だった」
「……?」
 何それ、絶対に誉めてないでしょう? それにしても、あまりにも自信家な発言ね、びっくりしちゃう。どうして嫌みなくこんなことを言えるんだろう。
「俺と一緒にいて、ここまで自然に振る舞ってくれるって貴重だよ。真正面からじーっと見つめられたりするとね、こっちの方が照れちゃうな」
「……そう?」
 何だか、言ってることがよく分からない。私が曖昧に小首を傾げると、牧田くんはまたくすっと笑った。