今日は朝から一度も臣くんの姿を見てない。それはすごく珍しいことだった。
いつもだったら、平均して二回はすれ違うのに。ひどいと、休み時間ごとに遭遇することになるのに。あまり不思議だったから、もしかしてお休みなのかと思っちゃった。でも違うみたい。さっきも放送で生徒会室から呼び出しが掛かってたし。
――やっぱり、本気で避けられているのかなあ。
我ながら、自意識過剰だと思う。でも、すごく落ち着かないんだもの。やっぱり『臣くん依存症』なのかなあと悲しくなる。まるでペチコートを履き忘れたみたいに、足下がすーすーするんだもの。だいたいね、今までは臣くんがどこにいるかなんて、探すことだってなかった。いつだって顔を上げればそこにいるんだから。
何となく周りの視線がちくちくと気になったけど、我慢して歩き続けた。
向かう先は印刷室。顧問の先生の印鑑が必要なんだけど、職員室に見当たらなくて。プリントを印刷してるらしいって情報を耳にしてやって来た。土日に学校内の施設に立ち入るには許可証が必要なんだよね。面倒だけど、仕方ない。ほら、買い出しに行ったものを冷蔵庫とかに入れなくちゃならないから。
……いつもだったら、臣くんに頼めば一発で済んだんだけどな。
臣くんって、実は生徒会長だから職員室ともお友達みたいなものだ。その上、職員用の裏出入り口の鍵まで持っているんだもの。そこから出入りすることだって出来ちゃう。部活の先輩と買い出しに行くよりもずっと楽だった。それに、力持ちだし。
ああん、駄目駄目。すぐにそんな風に考えるから、いけないんだ。臣くんばっかりに頼らないで、自分でどうにかしなくちゃ。
「はい、これでいいでしょう。火の元には十分気をつけてね」
無事、先生を捕獲。捺印してもらってホッとする。
よしよし、こうなったら次は意を決して2年生の先輩を突撃だ! うんうん、怖くて近寄れなかった3階フロアだけど、ここまで来ちゃったら大丈夫。今回は絶対ひとりで持ちきれる量じゃないもの、何があっても助っ人をお願いしないと。
そう思って一歩踏み出そうとした、その時。
いつもだったら、平均して二回はすれ違うのに。ひどいと、休み時間ごとに遭遇することになるのに。あまり不思議だったから、もしかしてお休みなのかと思っちゃった。でも違うみたい。さっきも放送で生徒会室から呼び出しが掛かってたし。
――やっぱり、本気で避けられているのかなあ。
我ながら、自意識過剰だと思う。でも、すごく落ち着かないんだもの。やっぱり『臣くん依存症』なのかなあと悲しくなる。まるでペチコートを履き忘れたみたいに、足下がすーすーするんだもの。だいたいね、今までは臣くんがどこにいるかなんて、探すことだってなかった。いつだって顔を上げればそこにいるんだから。
何となく周りの視線がちくちくと気になったけど、我慢して歩き続けた。
向かう先は印刷室。顧問の先生の印鑑が必要なんだけど、職員室に見当たらなくて。プリントを印刷してるらしいって情報を耳にしてやって来た。土日に学校内の施設に立ち入るには許可証が必要なんだよね。面倒だけど、仕方ない。ほら、買い出しに行ったものを冷蔵庫とかに入れなくちゃならないから。
……いつもだったら、臣くんに頼めば一発で済んだんだけどな。
臣くんって、実は生徒会長だから職員室ともお友達みたいなものだ。その上、職員用の裏出入り口の鍵まで持っているんだもの。そこから出入りすることだって出来ちゃう。部活の先輩と買い出しに行くよりもずっと楽だった。それに、力持ちだし。
ああん、駄目駄目。すぐにそんな風に考えるから、いけないんだ。臣くんばっかりに頼らないで、自分でどうにかしなくちゃ。
「はい、これでいいでしょう。火の元には十分気をつけてね」
無事、先生を捕獲。捺印してもらってホッとする。
よしよし、こうなったら次は意を決して2年生の先輩を突撃だ! うんうん、怖くて近寄れなかった3階フロアだけど、ここまで来ちゃったら大丈夫。今回は絶対ひとりで持ちきれる量じゃないもの、何があっても助っ人をお願いしないと。
そう思って一歩踏み出そうとした、その時。
