私に対する臣くんは、本当に少しも変わらない。初めての記憶の頃からずっと、そのまんまで接してくれる。だから、変わっていくのは私だけ。それがとてももどかしい。
一日のほとんどを同じ建物の中で過ごしているのに、私は出来るだけ臣くんを避けるようになっていた。だけど、どんなに頑張ったって上手くいかないの。だって、臣くんはどこにいてもすぐに視界に飛び込んでくる。
ゆったりとした微笑みを絶やさないままで近づいてくる臣くんを見てるだけで、心の中の金平糖はネズミ算式に増殖した。
――違う、そう言うつもりじゃないんだからね。
一体、何度自分に言い聞かせたのだろう。私は今にも爆発しそうな心臓を抱えながら、中央階段を下りていた。
ウチの高校は4階建て。上から見ると中央通路で繋がったH型になっている。……あ、直接見たことはないから、多分だけど。こっちの「クラス棟」の方は、1階が昇降口と用務員室、保健室とか。一番突き当たりが図書室だ。2階から上は順に3年生・2年生・1年生の教室になる。ようするに、学年が上がるごとに階段の昇降が少なくなる計算だ。
下っ端1年生の私にとって、上級生の教室がずらりと並ぶ階下は未知のフロア。階段の上り下りのときにちらっと眺める程度で、ほとんど馴染みがなかった。それなのに今、私は3階、2年生の廊下を歩いている。
何か、やっぱり緊張する。学年ごとにスカーフと上履きの色が違うから、遠くから見ても私が1年生だということはバレバレ。別にいいんだけど、悪いことをしている訳じゃないんだけど、……何となくね。
昼休み、丁度お弁当を食べ終わった時間。廊下にはたくさんの人が出ていた。それを避けながら歩くのも大変。ひとつしか違わないのに、みんなとても大人っぽく見える。
そして、G組の教室の前。私は意識的に足を速めて一気に通り抜けた。
一日のほとんどを同じ建物の中で過ごしているのに、私は出来るだけ臣くんを避けるようになっていた。だけど、どんなに頑張ったって上手くいかないの。だって、臣くんはどこにいてもすぐに視界に飛び込んでくる。
ゆったりとした微笑みを絶やさないままで近づいてくる臣くんを見てるだけで、心の中の金平糖はネズミ算式に増殖した。
――違う、そう言うつもりじゃないんだからね。
一体、何度自分に言い聞かせたのだろう。私は今にも爆発しそうな心臓を抱えながら、中央階段を下りていた。
ウチの高校は4階建て。上から見ると中央通路で繋がったH型になっている。……あ、直接見たことはないから、多分だけど。こっちの「クラス棟」の方は、1階が昇降口と用務員室、保健室とか。一番突き当たりが図書室だ。2階から上は順に3年生・2年生・1年生の教室になる。ようするに、学年が上がるごとに階段の昇降が少なくなる計算だ。
下っ端1年生の私にとって、上級生の教室がずらりと並ぶ階下は未知のフロア。階段の上り下りのときにちらっと眺める程度で、ほとんど馴染みがなかった。それなのに今、私は3階、2年生の廊下を歩いている。
何か、やっぱり緊張する。学年ごとにスカーフと上履きの色が違うから、遠くから見ても私が1年生だということはバレバレ。別にいいんだけど、悪いことをしている訳じゃないんだけど、……何となくね。
昼休み、丁度お弁当を食べ終わった時間。廊下にはたくさんの人が出ていた。それを避けながら歩くのも大変。ひとつしか違わないのに、みんなとても大人っぽく見える。
そして、G組の教室の前。私は意識的に足を速めて一気に通り抜けた。
