金平糖*days

「僕が一番欲しいのを、くるみが自分で当てるんだよ?」
 どうして、臣くんはあんなことを言いだしたんだろう。分かるわけないじゃない、私は臣くんじゃないんだから。いくらずっと側にいたからって、心の中までは知らないよ。いきなり謎かけをして、そのまま放り投げられて、私はいらなくなった不燃ゴミみたいな気分だ。
 このまま、私がきちんと答えを出さなかったら、放置されちゃうのかな。ううん、出したとしても当たってなかったらそれでおしまいでしょ?
 どう考えたって、分が悪いじゃない。しかも、臣くんはただ待っているだけ「高みの見物」って奴だ。こんなの、すごい意地悪だよ。「好きなの」って言い方も何かなあ……これじゃあ臣くんが思い描いているものがチョコレートなのかそうじゃないのかすら分からない。バレンタインって言ったって、この頃は多様化してるもの。何でもありなんだよ。
 無理、絶対に無理だよ、考えられっこない。これなら、クッキング部のチョコメニューを考える方がずっと楽だわ。ああ、そっちもタイムリミット。今日はもう金曜日、土日に材料を買いに行かなくちゃだし。
 ……あ、そうだ。
 もしかして、その買い出しもひとり? いつものように臣くんに一緒に行ってもらうつもりだったから、先輩とかにも声掛けてない。やだなあ、今は2年生の教室には行きたくないし。
 結局は私、どこまでも『臣くん依存症』だったんだなと思い知らされた。膝小僧と鼻の頭に残るひりひりした痛みと共に。
 いつも連れ立っている男女のふたり組がいれば「付き合ってるのかな」と思われるのは当たり前。
  ちっちゃい頃はそんなに煩わしいとも思わなかったけど、小学校も高学年になると次第に外野が騒がしくなった。