登下校に臣くんと一緒にいることは当たり前。だけど、その他のことをあれこれと詮索するのもおかしいかなと思っちゃう。……考え過ぎかなあ。
それにさ。
臣くんは私が「どうしてるかな?」とか考える前に、気が付くと目の前にいたりする。たとえば移動教室の時に偶然廊下の向こうから歩いてきたり。職員室に用事があって出掛けると、やっぱりそこにいたり。改めて探す必要もないくらい、見つけやすいんだ。それだけ目立つってことなんだよね。
バス停は駅のロータリーの中。電車通学の生徒たちと一緒に、10分ほどの道のりを歩いていく。駅に続く商店街は、どこもかしこもピンク色のディスプレイ。色とりどりのハートマークが飛び交う看板の下には女子たちがいっぱいだ。
夕暮れの通りは息が白くなるくらい冷え込んでるのに、その一角だけが五度くらい気温が上昇してるみたい。すたすたと前を行く臣くんを追いかけながら、私はちょっとだけそちらを振り向いた。
「……どうしたの?」
臣くんはすぐに気付いて立ち止まる。私は、小さく「ううん」って首を横に振ってそのまま歩き出した。
何だかね、こういうシーンに出くわすたびに不思議だなって思ってしまうの。
だって、みんな嬉しそう。確かにバレンタインは女の子のお祭りだけど、みんな右ならえに同じになるってどうしてなんだろう。たとえばクリスマスとかは、それぞれに色々な過ごし方があるでしょう? それなのに、この祭典だけはみんな一緒ってどういうことだろう。
確かに、チョコレートは私も大好き。眺めているだけでも幸せな気分になるし、実際に口にすればおなかも心も満腹になる。カカオやミルクの香りもふわんと濃厚で素敵よね。……だけどなあ。
男子だって、この時期はみんな何となく落ち着かない感じになるよね。うきうきしたり、そわそわしたり。中には異様なオーラを放っていて、近づけないような人もいるよ。
その点、臣くんはそんな風じゃないからホッとする。まあ、黙っていてもいっぱいいっぱいチョコを貰えるんだもんね。ぎゅうぎゅうに詰まった紙袋の中身は「内緒」って見せてくれないけど、あの中にはどんなにかたくさんの「想い」が込められているんだろう。
それにさ。
臣くんは私が「どうしてるかな?」とか考える前に、気が付くと目の前にいたりする。たとえば移動教室の時に偶然廊下の向こうから歩いてきたり。職員室に用事があって出掛けると、やっぱりそこにいたり。改めて探す必要もないくらい、見つけやすいんだ。それだけ目立つってことなんだよね。
バス停は駅のロータリーの中。電車通学の生徒たちと一緒に、10分ほどの道のりを歩いていく。駅に続く商店街は、どこもかしこもピンク色のディスプレイ。色とりどりのハートマークが飛び交う看板の下には女子たちがいっぱいだ。
夕暮れの通りは息が白くなるくらい冷え込んでるのに、その一角だけが五度くらい気温が上昇してるみたい。すたすたと前を行く臣くんを追いかけながら、私はちょっとだけそちらを振り向いた。
「……どうしたの?」
臣くんはすぐに気付いて立ち止まる。私は、小さく「ううん」って首を横に振ってそのまま歩き出した。
何だかね、こういうシーンに出くわすたびに不思議だなって思ってしまうの。
だって、みんな嬉しそう。確かにバレンタインは女の子のお祭りだけど、みんな右ならえに同じになるってどうしてなんだろう。たとえばクリスマスとかは、それぞれに色々な過ごし方があるでしょう? それなのに、この祭典だけはみんな一緒ってどういうことだろう。
確かに、チョコレートは私も大好き。眺めているだけでも幸せな気分になるし、実際に口にすればおなかも心も満腹になる。カカオやミルクの香りもふわんと濃厚で素敵よね。……だけどなあ。
男子だって、この時期はみんな何となく落ち着かない感じになるよね。うきうきしたり、そわそわしたり。中には異様なオーラを放っていて、近づけないような人もいるよ。
その点、臣くんはそんな風じゃないからホッとする。まあ、黙っていてもいっぱいいっぱいチョコを貰えるんだもんね。ぎゅうぎゅうに詰まった紙袋の中身は「内緒」って見せてくれないけど、あの中にはどんなにかたくさんの「想い」が込められているんだろう。
