牧田くんは、ふんわりと茶髪で肌もミルク色。臣くんとはタイプが違うけど、やっぱり綺麗な顔だと思う。格好いいと言うよりは、可愛いって感じかな。
でもなー、声をかけられた記憶もあんまりないし。牧田くん、いつも寝てるし。だから「まつげが長いなー」ってくらいしか印象ない。ふむー、彼がラブの伝道師だったとは。
「まあ、いいじゃないの。くるみはくるみで」
和沙ちゃんと穂積ちゃんは、顔を見合わせてくすくす笑ってる。
「今日も今庄先輩と一緒に帰るんでしょう? だったら、先輩に一緒に考えてもらえばいいんだよ。それが一番確実だと思うんだけどな」
そこで、タイミング良く予鈴が鳴る。午後の授業は体育と化学。着替えと教科書を一緒に持って、私たちは女子更衣室へと向かった。
朝は臣くんがウチの正面にある電信柱の前で待っていてくれる。そして、放課後は。今度は私が臣くんを待つことになる。
部活を掛け持ちした上に、生徒会にまで顔を出す臣くんの毎日は超多忙。私だったらとっくに頭がこんがらがって滅茶苦茶になってしまいそうなスケジュールを、それなりにこなしちゃうところがすごいなと思う。
長く長く伸びた、ひとりきりの影。それのてっぺんを見つめながら、そんなことを考えていた。
「あー、こっちもはねてた」
大きく拡大された私の髪型。右側の毛先があさっての方を向いている。全体にシャギーを入れた肩下までのスタイルは一番手入れが楽だって、担当のお兄さんが言ってくれたのに。何かひとつのことばっかりに頭が占領されちゃうと、こうだから嫌になる。
昇降口から出て、校門の方に半分くらい歩いたところにある大きな銀杏の木。両腕を伸ばして抱きついても右手と左手が届かないほど大きな幹にもたれかかって、目の前を流れていく部活帰りの制服たちを眺めていた。最初は目新しいばかりだったこの風景にも、気付けばすっかり馴染んでいる。
高校生活って、普通に忙しい。校外学習に球技大会、体育祭に文化祭。秋のオリエンテーリングに、冬の耐寒マラソン。そんなものを必死でクリアしてたら、もう二月。こんな感じで、また一年もう二年、すぐに過ぎていくんだろうな。
でもなー、声をかけられた記憶もあんまりないし。牧田くん、いつも寝てるし。だから「まつげが長いなー」ってくらいしか印象ない。ふむー、彼がラブの伝道師だったとは。
「まあ、いいじゃないの。くるみはくるみで」
和沙ちゃんと穂積ちゃんは、顔を見合わせてくすくす笑ってる。
「今日も今庄先輩と一緒に帰るんでしょう? だったら、先輩に一緒に考えてもらえばいいんだよ。それが一番確実だと思うんだけどな」
そこで、タイミング良く予鈴が鳴る。午後の授業は体育と化学。着替えと教科書を一緒に持って、私たちは女子更衣室へと向かった。
朝は臣くんがウチの正面にある電信柱の前で待っていてくれる。そして、放課後は。今度は私が臣くんを待つことになる。
部活を掛け持ちした上に、生徒会にまで顔を出す臣くんの毎日は超多忙。私だったらとっくに頭がこんがらがって滅茶苦茶になってしまいそうなスケジュールを、それなりにこなしちゃうところがすごいなと思う。
長く長く伸びた、ひとりきりの影。それのてっぺんを見つめながら、そんなことを考えていた。
「あー、こっちもはねてた」
大きく拡大された私の髪型。右側の毛先があさっての方を向いている。全体にシャギーを入れた肩下までのスタイルは一番手入れが楽だって、担当のお兄さんが言ってくれたのに。何かひとつのことばっかりに頭が占領されちゃうと、こうだから嫌になる。
昇降口から出て、校門の方に半分くらい歩いたところにある大きな銀杏の木。両腕を伸ばして抱きついても右手と左手が届かないほど大きな幹にもたれかかって、目の前を流れていく部活帰りの制服たちを眺めていた。最初は目新しいばかりだったこの風景にも、気付けばすっかり馴染んでいる。
高校生活って、普通に忙しい。校外学習に球技大会、体育祭に文化祭。秋のオリエンテーリングに、冬の耐寒マラソン。そんなものを必死でクリアしてたら、もう二月。こんな感じで、また一年もう二年、すぐに過ぎていくんだろうな。
