しだれ桜の木の下で





「そうだ…」



私は当初の目的を思い出し翔の方に身体を向ける。





「今日の夜にお通夜があるらしいんだけど……どうする?」


「どうする?って言ったって……どうしようもできなくないか?」




俺はここから動けないんだし……。と続ける。




私にはその答えに『行きたい』という気持ちが込められているように思えた。


そこで授業中ずっと考えてたことを口にする。





「私に乗り移れば、動けたりしないのかな?」


「は?」


「だから、私の身体を少し翔に貸すの。 よく漫画であるじゃん? ……取り憑くって言うのかな」




翔は私の考えを聞いてうーん、と考え込むような仕草をとる。




「とりあえず、やってみようよ、ね?」


「だけど……綾の身体に負担かかりそうだし……」