「それでねー彼はー……。」

電話では物足りなかったらしい。
彼女は旨くもない珈琲を出す喫茶店に私を呼び出し、旦那との馴れ初めを語り始めた。

「そういえば美樹、あの人とどうなの?」

「ふ、へ?だれ?」

唐突すぎて声が裏返ってしまった。

「え〜もう2年くらい付き合ってるんでしょ?」

彼女は質問に答えない。

「いや、何も無い。」

彼とは本当に何も無い。
普通の恋人同士だ。