「矢吹、西田、ちょっと」 「はい?」 仕事も終わりかけた夕方、上司があたしたちを呼んできた。 「何だろ?」 思わず佑真を見ると、“分からない”と言う様に、肩をすくめる。 「気にせず行って来いよ。後はやっておくから」 「悪い、山川…」 山川くんは相変わらず、あたしを見てはくれないけど、この優しさに胸が締め付けられる。 「行こう陽菜」 「うん」 佑真の後について、あたしたちは会議室へ向かった。