俺様男子

「莉子―、まだ?」

「ん゛-!!!」

「今日もおっせぇな…」




 キッチンで慌ただしく朝食を取る私とは真逆に、うちのリビングでくつろぎながらお父さんとテレビを見てる優が私を急かす。




「先行けばいいでしょー?」

「…あ? なんか言ったか?」




 後ろから鋭い視線が送られるのが気配で分かる。





「い、いえ…」

「朝飯食いたいんなら早く起きりゃいいだろ」



 私の後ろに立った優は鼻で笑うようにそう言った。




「睡眠時間は貴重なのー」

「へぇ…?」



 後ろから手が伸びてきたと思ったら、私が最後に残しておいたプチトマトをつまんで行った。



「あぁぁあ!!! 優!! 返して―」

「んだよ…仕方ねぇな」




 トマトの蔕をつまんでいた優は蔕をちぎって私の口の中に押し込む。




「ほら、行くぞ」

「んー」



 そばにあったオレンジジュースを一気に飲み干して席を立った。





「お邪魔しました―」

「待たせちゃってごめんなさいね。また来てね」

「はい」


 優はお母さんに返事をすると私の腕を引っ張って家から出た。