部屋に通してもらってから最初に口を開いたのは、塁君。



「で?」


 ハッキリとした声でそう言われて、私は忘れかけていたものを鞄の中から取り出した。




「これは?」

「みて」

「う、ん…」



 少し眉間にしわを寄せた塁君は大量の手紙の中から1通を手にとって中を覗いた。





 軽く1週間は届いてるけど…毎日1通とも限らなかった。





 お母さんに「最近、莉子宛の手紙多いわね。こんな時代に何人と文通してるの?」って言われたくらい。



「これは…」


 明らかに塁君が嫌な顔をしたのがわかる。




 それまでじっとしていた優も塁君の横から手紙を覗いた。



「あ」



 小さな声をだした優はやっぱり何か知ってるみたい。





「優?」


 私が優にそう声をかけた。