「…莉子ちゃん、また泣いてたよ?」

「会ったのか」

「1人で桜の木の下で休んでたよ」




 まるで俺に行けみたいな感じで言ってくる。






 …行けねぇよ。





「…行かないって言うの?」

「わりぃかよ」

「うん、悪いよそれ。兄貴のどこにコクっちゃいけない要素があるの?」



 夏弥は不思議そうに言うけど、俺もハッキリとはしていないのだろう。






 すぐには答えられなかった。





「草野の事件も終わったんだし、兄貴は莉子ちゃんに告白してもいいんだよ?」

「…お前、わかってんの?自分が何言ってるか…」

「俺が莉子ちゃんを好きだから…?」

「あぁ」




 俺が頷くと夏弥は哀しそうな顔をする。





「…俺も何かしてあげたいけど、俺に莉子ちゃんは笑わせない」

「え…?」

「今、莉子ちゃんが最も必要としてる人…誰かわかってるんでしょ」