結局フリ向けないまま、屋上に戻った。 夏弥が彼女として莉子を連れてきたらどうしようか…。 怖いくらい後悔しか残らない。 どうして…莉子と別れてしまったのだろうか。 「…はぁ」 ため息が出る。 「兄貴」 「あ?」 触れないようになっているフェンスを見つめていると後ろから声がした。 毎日のように聞く声。 「…夏弥」 「良かった」 何の良かっただよ…。 「…本当に莉子ちゃんにコクらないの?」 「あぁ」 「未練たらたらに見えるけど?」 そう言って笑う夏弥。 だけどさ、お前も莉子のコト……。