俺と莉子は散々に怒られたが、草野は家柄の関係で強くは先生も言えないみたいだ。
生徒指導室にも2人だけ呼ばれた。
「何があったんだ」
「…莉子、自分で話せよ?」
そう言うと小さく頷いた莉子は生徒指導の先生にゆっくりと全部話した。
相槌を打つ先生は熱血先生で、みんなを平等に扱う人だった。
すぐに草野の処分が決定された。
草野の親父さんは学校に来て何度も頭を俺らに下げた。
「…娘が失礼なことをしたようで…」
「いえ…わかってもらえれば…」
俺らは『組』という言葉に偏見があったのかもしれない。
草野のご両親はすごく親切でいい人。
「…私が昔、娘に言ったんだ。愛嬌のある良心を持つ人になれと…」
組の娘と言うだけで望んでもいない言葉ばかり飛んできて、愛嬌のある人になんてなれない。
そう感じた草野はまさに理想の人をたたき落とすようになったんだ、と草野の親父さんは話してた。

