そうすると後ろの方にいた女がどこからかバケツを持ってくると、莉子に向かって中身をまいた。
バシャッという音と共に莉子の顔や制服が茶色くなった。
「…何すんのよ」
「きたなーい!! 泥まみれになっちゃって~、泥んこ遊びでもしてたのー?」
そう言って笑う草野は鼻をつまむ。
たぶんかけられたのは泥水。
…ここで助けに行けたらどんなに楽だろうか。
見守ることしか出来ない。
…違う、しようとしないんだ。
「優にフラれたんだって~? そりゃぁ、そうよね! こんな泥まみれの女、誰だって嫌よ」
「うるさい」
「何か言った~? って言うか、まだ反抗するの?」
「どいてくんない? 授業始まるんだけど」
草野を睨む莉子。
それさえ愛おしくなってしまうのは余程重症なのだろう。

