返事をしたけど一向に返ってこない言葉。 「夏弥君?」 一瞬、繋がっている手を掴む強さが増した気した。 ゆっくりと歩くスピードを落とした夏弥君につられて私も足のスピードを緩めた。 上から見下ろそうように私を見る夏弥君は、悲しい顔で空いている片手で口を押さえている。 「…これ、言おうか迷ってたんだけど…いい?」 「うん…?」 私を歩道側に寄せてから、もう離れかけていた手を離した。 「…俺、莉子ちゃんが好き」 「……え?」