「早く」
私と夏弥君はリビングから追い出された。
「…行こうか…」
「うん…」
「制服だけ取ってくるから先に外に出てくれる?」
私は首を縦に振って玄関に向かった。
外に出るとちょうど日が沈みそうな時間で、制服姿の人も結構いる。
明日から春休みなのに…。
こんな憂欝なんて。
「お待たせ」
夏弥君が来て無言で歩き始める。
「…兄貴、どうしたんだろうね」
「……うん」
今にも爆発しそうな頭をフル回転させてやっと出来た返事。
何かを言いたそうな夏弥君は気まずそうな顔で私の手をそっと取った。
「ねぇ、莉子ちゃん」
「ん…」

