お粥を持った母さんが部屋に入ってきた。



「…ゆっくりでいいから食べてね」

「…ありがとうございます……」




 莉子ちゃんを母さんに任せて部屋を出た。





 兄貴の部屋をノックする。




 返事もないがたぶんいるだろうと思い、ドアを開けて中に入る。





 ベッドに横になって本を読んでる兄貴。




「兄貴」

「何?」

「莉子ちゃんのことどうする気?」

「どうするってどうもしないけど」

「今の兄貴おかしいよ。抜け殻みたいで臆病だ」



 そう言うと本を閉じて俺を睨みつける。




「草野って女に何されたか知らないけどさ、まだ好きなんだろ?」

「…そんなわけ」

「俺は警告した。莉子ちゃんは俺がもらうって…だけどな? こんなこと言いたくないけど、莉子ちゃんは兄貴しか見てねぇ。俺に勝ち目なんてないんだ……」





 いつの間にか本当に好きになってしまった。





 兄貴に警告した時はまだ気になる程度だったのに。





 こんな数時間で兄貴が憎たらしくなり、莉子ちゃんを本気で愛しくなった。