「…食べてもね、喉を通らないの」
小さな声でそう言った莉子ちゃん。
「食べなきゃいけないのも分かってるし、みんなが心配するのも目に見えてた…だからね、押しこんでたよ」
「後で吐いたってことだよね」
「うん…」
そんなの何かの病気か、ストレスでしょ。
莉子ちゃんの場合完全にストレスになってる。
いつもの元気なんて少しも見れなくて、弱弱しいか細い女の子だった。
あの莉子ちゃんらしい元気と笑顔を奪ったのは兄貴。
兄貴はまだ莉子ちゃんのこと好きなんだろ?
俺にはどうすることも出来ないのかもしれない。
莉子ちゃんもまだ兄貴を好きなことなんて、嫌でも伝わってくる。

