階段の下で母さんが言う。
「とりあえず部屋開いてないから夏弥の部屋に寝かせてあげなさいー」
「わかったー」
適当に返事をして俺のベッドに莉子ちゃんを寝かせた。
母さんも勘付いてはいるのか、兄貴の部屋には寝させようとしなかった。
「夏弥、夕飯まだでしょ。食べようか…」
俺が莉子ちゃんの傍に座っていると部屋に入ってきた母さん。
「目を覚ましたらお粥作るから…」
「うん」
兄貴は俺の隣に座ってケータイをいじってる。
チラッと見ると『草野』と書かれていた。
新しい彼女だ…。
内容までは見たくなかった。
これ以上、俺が兄貴を見る目を悪くさせないで欲しい。

