疲れたのか車の中でもう一度寝てしまった莉子ちゃん。
「栄養失調って…食べてなかったのかしら?」
寝てしまった莉子ちゃんに目配りをしながら俺に話しかける母さん。
「食欲ないみたいだね…詳しいことはわかんないけど」
「…今日はお粥を作って少しでも食べさせようか」
莉子ちゃん…心配してる人はたくさんいるんだよ?
今回のことだけは兄貴を許せなかった。
家に着いても莉子ちゃんは目を覚まさなかったから、俺は莉子ちゃんをもう一度抱えて家に入った。
ちょうどリビングに入って行こうとする兄貴と出くわした。
「は…? なんで…」
兄貴は驚いた表情で俺と莉子ちゃんを交互に見る。
「……誰かさんのせいで倒れてたんだよ」
「…家に返さなくていいのか?」
「今日、ご両親は留守だよ。雷苦手なんだろ? 1人にさせられないじゃん」
俺はそう言って莉子ちゃんを抱えたまま階段を上った。

