暫くしてやってきた看護師に帰ってもいいと言われて病院を出た。
「大丈夫…?」
「先生が安静にしてって言ってたから明日は休んだ方がいいわね」
母さんが莉子ちゃんにそう言うと小さく頷いた。
「迷惑かけてしまってごめんなさい…」
「全然いいのよ? 近所なんだし、頼って頂戴。それと今日はうちに泊ってね」
母さんは優しい声で言ったが、莉子ちゃんは不安そうに返事をしなかった。
…兄貴が原因なのはすぐに分かった。
「無理して兄貴に会わなくても大丈夫だから」
俺がそう言うと困ったように頷いた。
…なんで莉子ちゃんがこんな目に遭わなきゃいけないのか。
莉子ちゃんは何一つ悪いことはしてないだろう?
自分勝手で臆病な兄貴と兄貴に付け込んだ女が悪いのに。

