*夏弥side*




 莉子ちゃんに家を追い出されて、仕方なく家に向かう。




 ちょうど兄貴と会った。





「…なぁ、兄貴」

「何」

「どうなってんの? あんなに莉子ちゃんの事大切にしてたのに」

「……うるせぇな。俺にだって色々あんだよ…」




 俺のほうを見ていた兄貴は莉子ちゃんの話しになると急に目線を俺から外して、ぼやいた。





 …雨が降りそうな天気に少しだけ足を速めて家に向かう。






「莉子ちゃんのこともう好きじゃねぇの?」

「なんでそんなこと夏弥に話さなきゃいけねぇの?」

「…もういいなら、俺がもらうぜ?」



 俺がそう言うとピクッと反応した兄貴。





 なんだ、まだ好きなんじゃん…。




「…勝手にすれば?」



 思っていることと、言葉にすることは違うみたいだ。