「莉子ちゃん、大丈夫!!??」
私の涙を夏弥君がきていたカーデの裾で拭いながら顔を覗いてくる。
「大丈夫…」
「…兄貴は!?」
「…行っちゃったよ」
私がそう言うと何かを納得したのか頷いて私の頭を撫でてくれた。
「…色々あったみたいだね。兄貴は家に意味の分からない女連れてきて、母さんもあきれ顔だったよ…」
優が歩いて行ったほうを睨みながら夏弥君は優しい声で言う。
優と夏弥君は兄弟なのに性格は正反対だ。
「とりあえず…家に帰ろう? ご両親も心配してるよ」
「…うん」
年下とは思えなくて、私よりずいぶん高い身長の夏弥君を見上げてから一緒に家に向かった。
たまに後ろが気になって振り返ると、夏弥君は頬笑みながら『大丈夫だよ』と手を繋いでくれた。