「ボーっとしてねぇ? 数学わかんねぇの?」

「してないよ! わかんないけど(笑)」




 大の苦手な数学はいつもテスト前に優に教えてもらってるんだけど…隣の視線が痛い。





「…鈴木さん、数学出来ないの?」

「…苦手なんだー」

「そっか♪ 私が教えてあげるよ??」



 そう言った後、私の耳元に顔を近づけて小さな声で毒を吐いていった。




「だから優には聞くな、幼稚な頭の鈴木さん?」




 にっこりと笑った草野さんの瞳の奥は漆黒だった。




「草野、莉子はいつも教えてるからいい」

「えー? 私も鈴木さんに教えたいよ~」





 優の誘いは断れと目で訴えてくる草野さんは本当に恐ろしかった。





 私は草野さんに負けた。





「優、私やっぱり分かるからいいや♪」

「…へぇ?」