「ここは…?」
一つの部屋を指した草野さん。
「ここは図書室だったんだ。入ってみる? まだ本はあるかも」
そう言って扉に手をかける。
北校舎の扉はかぎ自体は必要なくて扉に着いている鍵をひねるだけの簡単な作りのもの。
私が一歩足を踏み入れる。
すると、同時に体のバランスが崩れて前に倒れて後ろから勢いよく扉を閉められる音がした。
「…え?」
「鈴木さん、ごめんなさい」
「…草野さん……?」
扉の向こう側から聞こえるやっぱり綺麗な草野さんの声。
「鈴木さんと優君は恋人?」
「…え、うん……」
「そっかー…じゃあ私に譲ってくれません?」
「…無理だよ」
「せっかく引っ越してきたんですけど…。このまま引き下がるのも嫌ですから、力づくで行きますね」
せっかく引っ越してきた…?
優のために引っ越してきたってこと…?

