暫くして草野さんが戻ってくるとこっちに笑顔で歩いてきた。
「どうだった?」
優が草野さんに向かって聞いた。
「迷いそうだったから、途中で引き返したよ」
「放課後、俺でよかったら案内するけど」
「本当? お願いしようかな」
あの面倒くさがり屋の優が自分からそんなことを言い出すなんて、信じられなかった。
チラッと草野さんのほうを見ると優が草野さんのほうを見ていないとき、嫌な笑みを浮かべているのを見てしまった。
唾を飲み込む。
なに、あの…嫌な笑み。
「あ、莉子?」
「ん? なーに?」
優がこっちを見てくれた。
そう思ったのもつかの間。
「草野、教科書とかまだ届いてねぇんだって」
…と、いうと?
「席変わってもいい?」

