「あ、莉子! お前…」

「何ー?」


 塁とのこともあるのだろうか。


 少し浮かれ気味の莉子は嬉しそうに振り返る。



「額…腫れてね?」

「え、嘘!! どこ!? つか、私、優の前に立ってたのになんで分かるの(笑)」


 自分の額を触ってたしかめてる。



「嘘。実を言うとこっちが腫れてたりして」



 そう言って俺は莉子の長い黒髪の後ろの方を押さえる。




「ここ…やっぱり腫れてる。打った?」

「んー…たぶん打った」




 身に覚えがあるようで、苦笑いの莉子。




 あいつ、一回締めようか。



「どうする? 一応保健室行くか?」

「うーん…ほっとけば治るでしょ? てか良く気付いたね」

「ん、なんとなく」




 本当になんとなくだった。




 なんかいつもと違った。



 ただ、それだけ。