「おっさん、離れろよ」
「おっさん~??」
明らかに挑発している優にまんまと乗った2人。
「ゆ、優…」
優の後ろに引っ張られた私は後ろから優の腕をつかんだ。
「ん?」
「良いから…帰ろ?」
「…変態置いといていいのか?」
「全然良いよ? 優が問題起こしたり怪我したりする方が嫌だよ」
私がそういうと少し笑った優が街灯に照らされた。
「ん…なら帰るか…」
優は2人に睨みだけを利かせた。
ビビったのか1歩下がった2人は黙ったまま、気まずそうに走って行った。
「睨みだけで…やれるんだ」
「余裕」
「目つき怖いもんね」
「莉子もそう思ってんの?」
何気なく手をつなぎながら2人で歩いた。
「思うけど、優自体は恐くないし」
「へぇ…」
「怒らせちゃうと怖いけどね」
私が笑うと優とつながっている手の力が少し強まった気がした。