「待ってよ~」
「…ご注文は?」
「メイドちゃん」
「…ないです」
「今、俺が作った~」
面倒くさいな…。
メイドちゃんって何よ。
優の不機嫌以上に面倒くさい。
「お客様」
「……ん?」
「メニューの中にないものを頼まれても困るんですよ」
「誰だよ、お前」
私の前に立ったよく見覚えのある背中。
抱きつきたくなっちゃうような背中。
「誰って店員ですけど」
「俺はあっちのメイドちゃんに注文してんの!」
「…莉子はダメだ。営業妨害するなら出て行ってもらいますよ」
低い声で黒いオーラがヴァンパイアらしい。
「ちッ…つまんねぇ店だな!」
大きく舌打ちをして優の肩にわざとらしく当たると教室を出て行った。

