「…莉子」
「は、はい…」
顔を歪めてこっちをみた優は私を引き寄せた。
「わ…」
「…急にいなくなるなよ……、ビビった」
「腕引っ張られちゃって…力出なかった」
「熱、あるんだから…無理するなよ」
抱きしめられてて優の表情は分からないけど、たぶん怒ってはない。
「…先輩に美人じゃないのに釣り合わないって言われちゃった……」
すごく悔しかった。
「優はカッコいいし…背も高いのに…私は背も低いし美人じゃない…」
「莉子…」
体育館倉庫の床の冷たさが足から伝わってくる。
体の芯から冷えてきそうだ。
「俺の昔のタイプは美人だったけど、今は莉子がタイプ」
「…ゆ…」
「俺は器用じゃねぇから毎日のように莉子に自分の気持ちを伝えれねぇかもしれないけど、莉子が不安がるならちゃんと伝えるから」

