「どうしたの?」
「…別に」
「何もないのに連れだしたの?」
ちょっと息が上がって来てたから座っていたかったんだけどな。
そう思いながらも優に腕を引かれて行く。
「…次の授業なんだっけ?」
「え、数学じゃない?」
「んー、なら俺が教えるから莉子は保健室で寝てろ」
「は?」
急に止まったと思ったら保健室に入っていった優。
「先生、いるー?」
「あら、西野君じゃない。またサボり?」
「違いますよ。莉子が体調悪いみたいだから、寝させて」
「いいわよ~。好きに使って」
優しそうな保健医の先生はベッドのカーテンを開けた。
優、もしかして気付いてたのかな。
素振りは見せてないつもりだったんだけど。
「一応熱測ってくれる?」
「あ、はい…」
優にベッドに座らされて保健医の先生から体温計を受け取った。

